学校施設管理のDIY

学校施設管理に20年以上従事してきた学校用務員によるかんたんDIY術の紹介です。

樹木を元気にする剪定

樹木を傷めないで元気に葉や花を茂らせることを目的とした剪定方法の紹介です。

いろいろなやり方もあるでしょうけどメリットはお金がかからないのと作業が楽です。
安全第一で取り組んでください。

 

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枝や根の成長を止めない剪定

2018年11月14日 22時17分

枝や根の成長を止めないで切る剪定のポイントを説明します。

最近の街路樹や公園の樹木は少し変わってきたと思いませんか?

その他でも広いお家のお庭の木々を見てみるとどうでしょう?

すっかり様変わりした理由は剪定の仕方が変わってきているからだと思うんですよね。

それはズバリ予算の問題ではないかと…。

学校もそうですが環境整備等にかける予算は年々減っていく一方です。

すると手っ取り早く剪定ではなく伐採になってしまうわけです。

簡単なんです伐採は。

邪魔なところをチェーンソーで一気にぶった斬るだけですから。

見通しがよくなって景観が良くなったと思っちゃうわけです。

『桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿』なんて言われていましたけど最近は桜も切られまくっていますね。

「でも毎年咲いて花見してるじゃん!」と言われそうですけど田舎の広いところに植えられた桜と都市部の街路樹の桜を見比べるとその美しさがよくわかると思いますよ。

じゃあどうやるの?

下の図の赤線で切っているのがいわゆるチェーンソーで伐採したような感じです。

その手前から芽が噴き出します。

一見当たり前のようではありますが芽を出すということはそれにつながる新しい根が生えすごい力を使うのではないでしょうか。
けれども街路樹などはコンクリートの隙間に植えられて新しい根が生えるスペースが少ないですよね?

木が弱ってくるのは当然だと思うんですよね。


枝を止めて切るのではなくて、図の青線のように、成長する流れを止めないで枝を剪定しましょう。

そのときに必ず中途半端に枝を残さないことです。
下の図のようにカットしましょう。
植物ホルモンの流れにとても重要なことなんです。

こちらを参考に→植物ホルモンを利用した剪定


止めて切った場合、そこから出た芽が成長していくと一ヶ所切った所を次の年には、何ヵ所きればいいのでしょうか?

用務員のような職種は安全衛生上では木に登りながらチェーンソーで切るようなことはできません。

しかしチェーンソーで切るような伐採を手ノコで切っていては時間がいくらあっても足りませんよ。

人件費の無駄だーと言われます。
伸びていく枝を残して切れば、芽の出る数も減ります(実際には出る場所が剪定しやすくなるということです)。
剪定の切り口を減らすようにする考え方です。
切り口を減らした方が枝のダメージは少ないです。
うまく枝作りができなくても、枝が元気なら次の年に切れば良いんです。
何よりも伝えたいのは切り口が少ないということは

楽なんです!時間もかからないんです!

最後に大木が根を張れる学校の敷地はとても貴重な場所です。

考えて剪定すればスクスク成長する元気な樹木を維持できます。

トーテンポールを増やすのはやめましょう。

歴史ある木々を守っていきましょう。

樹形の考え方

2018年11月14日 22時07分

学校の樹木はてっぺんが枯れていたり幹が割れていたり苔だらけって多くないですか?
敷地から少しでも出ると苦情が来ることが…。
落ち葉の季節はこれまた苦情が…。
そんなことが続いてついつい強剪定で丸坊主にしてトーテンポールになってしまうってのがおおいんです。
そんなことを続けると樹齢うん十年の木がかわいそうなことになってしまうんですよね。
幹が腐り始めるとかなり太い枝が折れて落下なんて危険きわまりないことに…。
学校や公園等の樹木は枝葉が多く茂り、花が咲いて、実がなり、紅葉が美しいなどが望まれるのではないでしょうか?
剪定でまず悩むのはどこから切り始めれば良いのか?というところですが私は下から登りながら切り始めます。

植木職人の方たちが上の方から綺麗に仕立てているのを見ますが学校に関しては下が見えない状態で枝を落としていくのは恐ろしい事です。

気がつくと木の下に児童がワラワラなんてことが想像出来ると思います。

気をつけましょう。

先ずは下が見える状態にするのが良いと思います。

上に登りながら枯れ枝や下側の枝を切っていくと見通しも良くなってきます。
高い木の上での剪定は安全に配慮してください。
安全対策を参考にしてください→落下防止の結び方


樹形の考え方ですが株状でない上に伸びていく樹木は基本的に図のように一本の幹があり多くの枝がバランスよく配置されているのが成長していくにはストレスなく伸びていくのではないでしょうか。

それに毎年の管理において何本もの幹が乱立していると木々が交差してそれはもう剪定が大変ですししっかりした枝がない木の剪定は成長して高くなってくるととても危険です。

ならば高くならないようにと木のてっぺんをズバッと切ってしまうと切り口が雨に晒されて幹が腐っていきます。

取り返しがつかない事になります。

どうしてもと言う場合は上の方向に伸びる枝を残して切り口を斜めになるように切ります。

図のように赤線で切ったら、青い丸の部分を頂点にのばします。

先ずは樹形と成長する姿を想像してください。

そして幹と枝を見極めてください。

それを意識して剪定を続けると落とす部分が決まってくると思います。

初めは時間がかかるかもしれませんが身につけば何も意識しなくても切る枝が決まり剪定の時間も大幅に短縮していきます。

 

植物ホルモンを利用した剪定

2018年11月14日 22時25分

枝の切り方ですが水平に伸ばして行こうと立枝切りますね。
この考えは捨てましょう。
上側を切ると切り口に水があたり乾かない→腐る→水がどんどん溜まるのサイクルになってしまいます。

細いうちに処理できるものなら良いのですが太くなり始めると成長の勢いが逆転してしまいます。

それは枝の表面を見るだけでもわかると思います。

太くなった立枝は幹と同じようになってしまいます。

それを切ってしまうと木にとっては大ダメージですし残しておくと幹が何本にも増えて剪定が大変になってしまいます。

ではどうするかというと樹木自身になんとかしてもらいます。

科学的に言うとホルモンの関係です。
オーキシン
ジベレリン
サイトカイニン

という名のホルモンなんかが関係してきますが難しくなってしまうのでここでは実際の剪定のみの説明をさせていただきます。

難しい理屈ではなく毎年の剪定で実験してみることをおすすめします。

新しい発見もありますし確実に身につきます。

私も毎年発見があり試行錯誤です。

とにかく枝の下側を切る事によって植物ホルモンが作用して画像のようになります。

果実の付きも変わります。


幹が斜めに伸びてそこから出た枝が水平に伸びて成長して重くなり度重なる剪定で弱っていました。切るポイントが幹の部分になってしまいましたが下方向を向いているので見事に癒合してますね。

下側ばかり切って立枝を残しておくと枝が幹や周りの枝に交差してしまうと思われます。

基本はそうなる前の細いうちに剪定することが大事だと言われます。

ただ、それを繰り返していると枝の重みや切り口からの病気などで枝が弱ってしまう。

そのようなときに枝を更新して元気な枝に替えるという考えで良いと思います。

斜め方向に伸びた残すべき枝があればその下側を切れば良いです。

でも切り口を下側に剪定するのに伸ばす良い枝がない場合はどうしましょうか?

仕方なく立枝を残す場合は下側の任意の場所にノコ目を数ヶ所入れて、寝かせ、ロープで結びます。

切り口にセルパラテープという保護テープを巻きます(樹木が元気なら巻かないかも)。

下の絵ですと、黄色の部分で切って、紫色の切れ目を入れて枝を赤線の方向に引っ張って固定します。

こんな処理をすると自由自在に伸ばせます。

面白いと思いませんか?

木の種類によってうまくいかない時もありますが太くなる前に行えばかなりの確率でできますよ。


ただ実際には枝の重みや果実の重みで向きが変わって行くので切り口は減らすことを考えて長い目で優しく剪定してあげてください。

剪定枝の処理方法

2018年12月30日 22時40分

調子良く剪定して剪定枝が山盛りになって片付けが嫌になってしまうことありませんか?

そのまま積んでおくとイタズラされて危険です。

すぐに片付けましょう。

まずナタで細かく切ります。

細く切りすぎないように束ねるサイズで処理しましょう。

剪定バサミで細かく切ってビニール袋に入れて処理する人がいますが時間がかかるし手を痛めるのでおすすめしません。
ナタで切って紐で束ねる。
それが一番早いんじゃないでしょうか?

ナタの使い方

鉈は手のスナップを効かせるような感じで振りますが、力は入れませんよ。
鉈の重みで切ります。
手に結んだりして使う人がいますが、やめましょう。
握りのコツがつかめませんよ。
慣れないうちは筋肉痛になるかもしれないですが、うまくなると無駄な力も抜けて1日中振ってても大丈夫になります。
鉈は片刃と両刃がありますが、枝処理などは片刃が良いでしょう。
薪割りのような縦に割る使い方(キャンプなどで)の時は両刃が良いと思います。

枝は根元側から落とした方がやりやすいと思います。

太めの枝は木を回しながら斜めに切り込み続ける。最後、足で折る。


刃を入れる角度は絵のような感じで良いと思います。
かなり太い枝も切れますよ

 

剪定枝を束ねる

葉っぱと枝を完全に分けてしまう人もいますが、葉っぱは残しましょう。

枝だけになると束ねるときに縛りにくいですしバラけやすいので。

ヒモはスズランテープでもなんでも良いですね。

束ねる長さなどは各自治体によって違うので決められた長さで束ねます。

まずは二ヒロくらいの束ねるヒモを用意します。

一ヒロは両手を横に広げた長さです。150cmくらいですかね。

半分にして地面におきます。


その上に剪定枝をのせます。


折り返した部分の輪にヒモを通して、締め上げます。

ギューっと締め上げます。

最後にヒモをくぐらせ、できた輪に通します。

締めておしまい。

ちょっと長いですかね。

細かい枝や葉っぱを残しておけば解けることはないと思います。

藤の花を咲かせましょう

2019年04月24日 22時45分

毎年開花を楽しみにしている樹木はいくつもありますけど藤の花は是非咲かせたいですね。
立派な藤棚がある学校は多いですけど強剪定で枯れてしまったり、つるばかりが伸びて花芽がつかなかったりすると多少なりとも責任を感じてしまいます。
剪定の本などで勉強してもツル性の植物などは枝の数が多いし棚の上での剪定でわけがわからなくなるというのもあるのではないでしょうか?
適当だけど花が咲く剪定方法です。
剪定の時期なんですけど私は年に2回します。

1回目の剪定

一回目は花が終わってツルと葉っぱがモリモリになって色々な所に絡み始めます。
周りの樹木や建物などに絡みそうなツルやビヨーンと一直線に棚から外れて伸びていく強い枝なんかを切ってしまいます。
切る位置はモサモサでわけわからないので刈り込み鋏でカットしても良いですが次の剪定のことを考えるなら切る位置を決めます。
藤の花の剪定位置
花芽がつく短い枝まで遡って切ります。
切り方は赤い線のようにカットします。
これにより切り口の部分が癒合しやすいです(切り口が上を向いてないほうが良いです)。
別記事で紹介しています。→植物ホルモンを利用した剪定

2回めの剪定

2回目の時期はズバリ12月の中旬ですね。
この期間からは外せません。
なぜなら剪定したツルでクリスマスのリースをつくるからです。
需要が多くなりすぎて1回目の剪定でわざとツルを切らずに伸ばしているくらいです。
剪定方法は1回目の図と同じですね。
冬の剪定の場合は葉っぱがないので花芽がつく枝などがよく見えますので剪定がしやすいと思います。

こんな風にカットして

短目の枝を残します。

これも外に伸びちゃってる枝をカットして

短めの枝を残します
冬の剪定だけきちっとやれば良いっちゃ良いです。
きちんと花芽を作ってくださいね。

こんな感じの枝に花がよく咲きます。
藤棚画像

赴任して3年目の藤棚です。

まったく花がつかなかった藤棚がこのやり方でだいぶ咲くようになりました。


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